性癖と性感の違い
性癖という言葉、皆さんはどんな風にとらえているでしょうか?
近い言葉には性感、という言葉があります。
この二つの違いは、一言で言うと
性癖…その人の好み
性感…気持ちよさの度合い
なんです。例えば
「性感マッサージ」
という言葉は → 気持ちよさに特化したマッサージ。
となり、意味が通じます。
性癖マッサージ…だったらよく分かりませんよね。
本記事では、性癖について図も使いながら解説をしていきます。
(性感のほうをよく知りたい!という方は下記の記事もご覧になってみてください)
性癖とは?
性癖があってないから気持ちよくないのかなぁ…経験の少ない方はこんな風に性癖と性感をまぜこぜにして考えてしまいがちなので注意です。
先ほども出てきた通り
・性癖 : その人の好み
になります。
これだけでは分かりづらいので、言葉を変えて「食の嗜好」を考えてみましょう。
例えばランチのお店を選ぶときは食の嗜好が反映されます。
決める順番は
1)和食よりイタリアンが食べたいなぁ…
2)あ、この店よさそう!ピザよりもこのパスタが食べたい!
と言った感じになります。
もちろん、その時々の気分で食べたいものは変わってくるとは思いますが、数ある料理の中から何を選ぶのか?という部分で必ず嗜好が反映されます。
かわいらしい内装だったり、シックで大人な雰囲気だったり…というお店の雰囲気もそこに反映されるでしょう。
性的嗜好に関しても、似たような考え方ができます。
まず、無数にあるバリエーションの中から、SMというジャンルを選びます。
さらに、SMの中で細分化されたプレイを試して、ぴったりの「性癖」を見つけていきます。
性感と性癖を合わせると、より気持ちいい
性癖と性感は、車で言うとハンドルとアクセルのような関係です。
この車の目的地は「性的満足」になるでしょう。
目的地へピタリと到達するためには、ハンドルを行きたい方向に合わせて切らなければいけませんね。
そうしないと、車が進み始めても、あぁ、行きたいのはあそこなのに…という感じで、ズレていく目的地を横目に、寂しい気分になってしまうからです。
一方で、ハンドルだけ切っても、アクセルを踏まなければ進むことが出来ず、この場合も結局、目的地にたどり着くことはないでしょう。
このたとえを聞いた時、性癖と性感、いったいどちらが重要に思えますか?
答えはアクセルなんです。
進みさえすれば、ピタリとはいかないまでも、目的地に近づくことは出来るからです。いくら変わった性癖がある人でも、目的地はおおむね前方にあります。だから、ノーマルエッチでもある程度は満足に近づくことができます。
アクセルを踏めない場合は、どこにも辿り着くとこは出来ないでしょう。
つまり、性感が得られなければ、Mさんが満足することもまた無いのです。
ちなみに、性癖がノーマルな人というのは、目的地が真正面にある人といえます。
ハンドルを切らなくても、アクセルさえ踏めれば目的地へたどり着くのです。
SMに合わせて性癖を分解する
SMとD/sの概念にピンと来ない人は、まずは下記の記事からご覧になってみてください。
上の記事ではSMと一言でくくられていた性癖を、SMとD/sに分けて紐解きました。
しかし、これだけではやや表面的な感じがします。
その理由は、男女の間にある一つの大事な要素が抜けているからでしょう。
恋愛とエッチです。
「ソフトSM」や「快楽責め」なんて言葉もある通り、性器への快楽は実際には避けて通れない要素です。しかし、SM原理主義的な場面では「エッチはSMじゃない!」といった主張も多く、混乱してしまいます。
実際のところは、SMプレイを楽しみつつ、気持ちいいこともしたい…というのが大多数の欲求のはずです(その比率は、人によって異なるとは思いますが)
なので、ここではSM、D/sといった2大要素に「エッチ」を加えて、現実的な性的思考を表現することを試みます。
誤解されるサドマゾとドミサブ
某SNSでこんな図が流行っているのを見たことがあります。
縦軸に肉体的な支配/服従の度合い、横軸に精神的な支配/服従の度合いを置き、ポジジョンを取るとその人の趣向を表すことができる、というものです。
大方予想はつくと思いますが、大抵のSは①、大抵のMは④を選択していました。
まれに⑤や⑥を選択する方もいましたが…
(②や③はほとんどいません)
ここで僕が疑問に思ったのは横軸です。
精神的支配とは、何を表しているのでしょう?
よく言われていたのが
「精神的支配=D/s」
という意見ですが、リンク先記事を読んで頂いた方はお分かりのように、この二つは異なるものです。
縦軸となっている肉体的支配は分かります。
スパンキングやエッチの時は体に触れるし、その許容度を言っているのだろうと。
でも、その許容する意思はどこから生まれるのでしょう?
本人の心…つまり精神から生まれるに決まってます。
なので、実際にはこの図の軸は、意味が分かれているとは言い難いのです。
相互に結び付いているのですから、①や④に偏るのも当然ではあります。
仮にきっちり意味が分かれているとしたら、下記が成り立つはずです。
1) 肉体的支配は許容するけど、精神的支配は許容しない。
2) 精神的支配は許容するけど、肉体的支配は許容しない。
どちらもイメージ沸かないですよね。
肉体的な要素を抜いたものについて語りたい、という意図は分かる気がしますが…。
次節では、頑張って「精神的な支配」の意味を紐解いてみましょう。
実はノーマル?乙女心を表す「精神的支配」
謎を解き明かすのに役立ったのは、この図について語られていた内容です。
「エロはいいから、心を支配してもらいたい」
「いつでもご主人様の事を考えていたいので、私は⑥かなぁ…」
うーん。
それはただの恋愛ではないのか?
僕はモヤモヤと考えます。
「またエッチ?やりたいだけなの?」
「頭の中から〇〇のことが離れなかったよー」
皆さん、これはSMとは関係のないノーマルな恋愛で出てくるセリフです。
何だか最初の二つと似ていませんか?
うーん…
うーん……
あ、そっか!
進〇ゼミのごとく(笑)僕は閃きました。
こんな図です。
恋愛タイプ診断によく似てますね
・彼氏色に染まりたい!一途タイプ
・スキンシップ重視型
・さばさばした友達タイプ
聞いたことあるフレーズと、図上の番号はうまくマッチしていそうです。
逆に言うと「精神的支配」って、ノーマルな乙女心について語っているに過ぎないのでは…
正体が何となくつかめたので、最初の曖昧な図と対応させてみましょう。
SM恋愛工学…性癖の3軸分解
横軸にあった「精神的支配」を分解して、3次元に拡張します。
相手に合わせる度合いはD/sにそのまま対応させましょう。
出来上がった図は、下記です。
どうでしょう?
肉体的支配と、精神的支配の間に隠れていた3軸目が姿を現しました。
あの時多くの人の頭にあった「精神的支配」はたぶんこんな図でしょう。
D/s的なものを思い浮かべたり、異性としての尊重され具合を語っていたりしていた曖昧さも、実はスッキリ整理可能だったのです。
言葉にしてみても
エッチしたいし、命令されたい
エッチはしたいけど、命令されたくない
エッチはしたくないけど、命令されたい
エッチはしたくないし、命令もされたくない
となり、4象限がうまく成立します。
「精神的SM」の正体はこういう複合要素と考えられます。
この図の確からしさは「好きだからエッチする」という一般的な概念を持ち込んでも成立するところです。
こんな風に、縦軸を恋愛軸として置きかえても矛盾しません。
ここまでやると、恋愛と精神的なSMの関係性もきちんと見えてきます。
まとめ
この記事では、SM的な性癖を3軸に分けて分解しました。
主従関係における結びつきをあえて「恋愛」と表現せず、精神的支配と言ってしまうのは、中にこういう軸を含んでいるからなのかもしれませんね。
この図は様々な性癖モデルに対応できます。
エッチという直接的な表現が苦手な人は縦軸=恋愛軸の図
エッチと愛情は関係ないと考える人は縦軸=エッチ軸の図
を使う事で、ほぼSM+男女関係にまつわる趣向を網羅できそうです。
なるほど!と納得してくださった方は、ぜひこの図を使って、広めちゃってくださいね。
お互いのすれ違いが減って、幸せなカップルが増えるはずですから。
おまけ:偉そうにすることは必要なのか?
S様はMに対して高圧的に偉そうに振舞う場合があります。
D/s軸にこういう素養が当てはまるのではないか?と一瞬考えたりもしますが、これは誤りでしょう。
日常を振り返っても、能力が高い人や、立場が上の人が偉そうにしているかというと、必ずしもそうではありませんよね。
むしろ真に敬服されるような人は、決して偉ぶったりはしていません
無意味に偉そうにしている事は、嫌われる要素の一つでもあります。
上下関係を持ち込むD/sプレイにおいても同じ理屈は当てはまります。
もちろん、偉そうにしたい&されたいカップルも中にはいると思いますので、そういう場合はアリです。
でもやっぱり「偉そうにする」ことは必須ではないと言えるでしょう。
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