「病みM」生きづらい人のSMじゃないSMの話

病んでいる人とSM タイプ診断

幸せが必要な人と、そうでない人たち

本カテゴリ、ご主人様や調教の話で、心が軽くなってハッピーエンド…という展開に
「いいなぁ…」
と思う人がいる反面
「いや、そういうのは求めてないんだけど…」
という声もまた聞こえてきそうです。

私はただ痛めつけられたいだけだし、ぺちゃんこにされたいだけなの。
むしろ、今更そんな「普通」の世界に引っ張り出さないでくれる?

え、そんなことある?
と思うかもしれませんが、あります。
一部の人は、ハッピー・エンドとは真逆の動機でSMをしています。

今回はそんなMさんたちのお話。
SMとしてくくられているけど、SMじゃない空白地帯。

今回はそんな、居場所のない人たちの話です。

普通の人+変わった性癖、変わった人+変わった性癖

SMをしている人たちの中から
・ソフトSMなどの快楽系
・痛いのが気持ちいいレアケース
の人たちを差っ引いてみましょう。

残るのは「痛いし、嫌だけど、なぜかSMをしてしまう」という理解しがたい一群です。
分かりやすいマゾでもなく、快楽主義者でもないのです。

SMはノーマルセックスと違い、肉体的なダメージを伴うリスクがあります。
このリスクを受け入れてまでのめりこむ理由は「それを上回る気持ちよさがあるからだ」と説明されてきましたが、冷静になって考えれば論理が飛躍しています。

この辺あんまり突っ込んで議論されることはないのですが、Mさんの話をよくよく聞いていると、別にそんな「差し引きプラスだから」的な話ではなく、ほとんどの場合

痛いもんは痛い

と感じています(参考記事)

言い方を変えてみましょう。
ノーマルなSM(?)は

・普通の人が、変わった性癖を楽しんでいる

という世界です。
その裏に隠れているのは

・変わった人が、ノーマルなえっちをしている。
・変わった人が、変わった性癖を楽しんでいる。

という世界です。

性癖ではなく、行動原理のズレはSMなのか?

「ソドム120日」という小説を読んだことはあるでしょうか?
変態プレイの数々を、何の脈絡もなく延々と、緻密な描写で繰り広げる説です(笑)
そこにはモラルの呵責や、普遍と異常の対比で盛り上げるようなシーンはありません。

やりたいから、面白いから…というシンプルな動機で、SMプレイをしているのです。
この著者の名前はマルキ・ド・サドと言い「サディスト」の呼び名の元になっています。

本来、SMというのはこういう層に割り当てられた言葉でした。

彼らは変態ではあるけれど、そこに暗さや後ろめたさはなく、楽しんでプレイをしています。
普通の人が、異常な性癖を楽しんでいる状態です。

対比を成すのは「こんなのイイ訳がない…」と思いつつ、SMの世界にのめりこんでしまう人たちです。代表的なものはソフトSMで「こんなこと、ダメなのに…」という背徳感が興奮のベースになってすらいます。ちょっと、精神的に不健全な感じがしますね。

性的に崩れかけた、ちょっと過激なプレイが好きな女性…一般的なM女のイメージはこのジャンルでしょう。とはいえ、ノーマルなエッチを楽しめる場合はそんなに問題になりません。受け皿がそれなりにあるからです。

受け皿がないのは、さらに行動原理も性癖もアブノーマルな場合です。

いじめ、暴力

そう形容するしかないようなものを好む人たちが居ます。
「男女関係 = イイこと、イイもの」の枠を当てはめようとすると、破綻してしまう人たち。
性癖だけでは説明できない、行動原理のズレ。

この人たちを、単純にSMの枠に当てはめていいものなのか?
僕はある日、そんな疑問を抱きました。

病みM

以上の話を図解してみましょう。
縦軸に行動原理、横軸に性癖を取ってみます。

病んでいる人とSM

左上は、普通×普通の人たちです。このゾーンの男女関係は一般的な恋愛です。
右上は、原義的なSMです。性癖だけがアブノーマル。
左下は、ちょっと病んでいるけど、性癖は普通より。D/sとか主従関係とか(あってるかは別として)そんな語句で置き換えられるときもあります。

右下が、この記事で書き表しているゾーンです。

ここに居るMさんは、肉体的な快楽や、寂しさ、依存先を求めてSMにのめり込むのではありません。押さえつけている自分自身の解放、忘れてしまった高揚感、頭の先まで痺れるような陶酔感…
そんな「生きている実感」を求めてさまよう人たちです。

逆に言えば、普段はそういう実感を感じられないため、生きづらいとか、病んでいる…という感覚が強いのが特徴の一つです。名づけるなら

病みM

でしょうか…

病みMさんはノーマルエッチよりはSMプレイの方が合うからSMの世界に居つくだけで、趣味的に楽しんでいるわけでもありません。
本人らからすると、別に自分はMじゃないよなぁ…と思ってたりもします。好き好んでというより、よくわからない衝動に突き動かされている感じです。
ノーマルエッチがあまりピンと来なかったり、性癖がどうこうというより、恋愛感情がそもそもよくわからん…という場合もあります。

ベストではないけど、近いラベルがたまたまSMだった…
病みMさんたちは、たまたまSMという世界の近くに居ながら、ちょっと異なる動機を持つ人たちです。

白いゾーンの由来

サイト名「白いゾーン」の由来は、このSMっぽいけど、別の名前を付けてもよさそうな空白地帯のことをそのまま指しています。
そして、行為の異常性ではない、行動原理の異常性を書き出すことで、まだ誰も気にしていないような、「病みM」の新たな一面を描き出そうとしています。

SMっぽくない記事が多いのもそのせいかもしれません。
まずは、今までのものと、新しく考えたいものの切り分けを明確にする必要もあります。
なので、解説的な記事もたくさんあります。

加虐と被虐の間で、零れ落ちたマゾヒスト。
ノーマル以上、SM未満の白いゾーンの話は、「病理編」カテゴリへ続いていきます。

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