一人が寂しい人のための依存型SM。好きな人に依存するのは悪いことなのか?

依存型SM 依存

依存は悪いことなの?


以前、依存に関する記事を書きました。
この記事では、依存をコントロールしてうまくいかないだろうか?という提案をしていましたが、今回はもう少し踏み込んで考えてみましょう。
具体的には、依存型SMという枠組みを考えながら、依存が絶対悪なのか?という点を掘り下げていきます。

依存している間は、実は成長するチャンス

依存とは、それが無いと生活が立ち行かないことを指します。
逆に言えば、依存対象があればある程度安定する、ということです。

例えば小さな子供は、精神的にも肉体的にも、親にべったりと依存しています。
(最初から自立してる子供なんていません!)

そのうち、一人で歩き回ったり、誰かとコミュニケーションしたりするようになります。もちろん、ここでも壁があります。失敗したり、傷ついたりすることもあるでしょう。
そんな時、親元に戻って来て泣き、慰められ、安心感を取り戻します。

こうして、子供は親と心理的な結びつきを得ます。この人は(親は)自分の事を分かってくれる。
信頼感と、愛着の形成です。

何回も失敗と傷つきを繰り返しますが、やがて上手な方法を見つけ、ストレスへの耐性も獲得していきます。一人で何でもできるようになるのです。
この段階になれば依存は脱して、自立したといえるでしょう。

大人の依存 恋愛編

さて、大人になって恋愛するときも「彼ナシじゃ生きていけない!」と言った具合に、相手に依存してしまう人は結構居ます。
しかし、通常恋愛は対等な関係なので、あなたが成長して自立するまで辛抱強く見守ってもらえるとは限りません。むしろそうじゃない場合の方が多いです。

なにせ彼氏の側も、生きるためにもがく一人の人間ですから、彼女のために100%一方的な愛情を注げる余裕はないのです。同年代ならなおさらです。

なので、依存型の恋愛関係はいつかどこかで破綻してしまいます。

親子関係と違ってエッチが含まれているので、お互い情が出来てズルズル長引いたりします。

大人の依存 SM編

さらにSMの世界まで話を広げてみます。
なんとなくお気づきの方もいらっしゃると思いますが、「ご主人様と奴隷」の関係は、依存を内包している場合があるのです。

もともとSM的関係では上下関係がはっきりしていて、S側にM側が従う構図が多くみられます。
特にドミサブ要素が強い場合はそうです(参考記事)

Mさん側が「言う事を聞くのが楽しい、幸せ」な状態であればOKです。支配と従属の関係を作って遊ぶ…支配型SMとでも言いましょうか。
わきまえていれば、健全な大人の遊びです。

しかし、Mさん側が「いう事を聞くのが自分の存在意義、相手が居なければ自分の価値が分からない」のような状態だと、関係の中心にあるのは依存です。
依存型SMです。

そんな関係は珍しいと思うかもしれませんが、結構な割合であります。

SMの場合は、目立たないだけです。
支配と従属の中に自然と溶け込んでしまっているからです。

依存型恋愛と依存型SMの違い

さて、ここでついにSMの懐の深さが発揮されます。
依存型恋愛はうまくいきませんが、依存型SMはうまくいく場合があるのです。

支配の度合いが深くなってくると、Mさん側はご主人様の言う事を聞くだけでなく、その途中で難しい調教を受けて辛く感じ、弱音を吐いたりします。

ご主人様はSMや、支配という言葉で彩られた世界で、しっかりとMさんを受け止めながら、自分なりの言葉をかけてあげます。
こうして、Mさんは安全な居場所を得ます。

ご主人様に依存しながら、傷ついた自分を癒し、少しずつ失敗や、自分が出来ないことへの対応方法を学んでいきます。
あれ、なんだか見たことがありませんか?
そうです、信頼感と愛着の芽生えです。

初めは依存でしかなかった関係が変化した瞬間です。

依存型SMで重要なのは父性

たまにSMの世界から「卒業」する人がいます。
その理由は様々ですが、ニュアンスとしては「それが無くても平気になった」という言い方をされる場合がだいたいです。

何が平気になったのかは本人もうまく言語化できなかったりするものですが、上記のような依存と成長、自立のプロセスを支配と服従の関係性から獲得していったのだと考えると、つじつまが合います。

従って、依存そのものが絶対悪とは言えません。
一定期間、そういうものが必要なこともあるのです。

依存型SMをする場合は、ご主人様側にMさんの気持ちを受け止めたり、上手な考え方を教えたりする父性のようなものが求められるでしょう。

だから、依存が絶対悪というわけではありません。
その先に何があるのかをこの記事で把握しておけば、より幸せになれるんじゃないかな、と思います。

共依存

ここまで書いたような仕組みが機能していれば、世の中幸せなSMカップルだらけなのですが、必ずしもそうではありません。
なぜうまくいかないのか?それは「ご主人様が精神的自立を妨げる」からです。

え?なんで?

せっかくいい感じになってきたのだから、精神的に自立するとこまで面倒見てくださいよ?
と思うのは、Mさん側の都合に過ぎません。

自立されるとS側は困るのです。
だって居なくなっちゃうじゃないですか?

依存的SMは、依存しなくなったらその関係が消え去ってしまうのです。
大切に育て上げた奴隷に、SMプレイなんてや~めた、なんて言われたらSとしては途方に暮れるしかありません。

かくして、SさんはうまくMさんの依存心をコントロールし、生かさず殺さず保ちつづけます。
そうしている限り、自分から離れていくことは無いのですから…
この場合のSさんは、依存されてないと関係が成り立ちません。
上記の状態はお互いに依存している状態…共依存と呼ばれ、依存型SMで非常によく見られる構図の一つです。

なお、こんな風に書かれるとS側が果てしない悪者に見えてきますが、そうとは限りません。
ナチュラルにやってる場合もあるし(これが一番タチ悪いですが…)、分かってやってる場合でも相応の愛情は注いでいたりするので、一面的に批判する目的はこの文章にはありません。

依存型SMに出口はあるのか?

さて、そんな依存型SMですが、自立するならもう続けられません。
大好きなはずのご主人様と、関係性がなくなってしまう…
このまま、依存していた方がいいのかな/させておいた方がいいのかな…

いいえ、そんなことはありません。
答えなんて、決まってます。
自立した方がいいんです。

それに、自立した後も二人の関係をつづけていく方法があります。

依存型SMをやめて恋愛に切り替えればいいんです。
信頼感を持ちながら付き合えるなんて最高の関係です。
今まで見守ってくれたご主人様を、今度はわたしが見守ってあげる!くらいの母性を返せたら、すごくイイ感じに二人で過ごせるんじゃないでしょうか。

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コメント

  1. MAYU より:

    こちらでははじめまして!

    >依存型SMをする場合は、ご主人様側にMさんの気持ちを受け止めたり、上手な考え方を教えたりする父性のようなものが求められるでしょう。

     元パートナーはまさにこのタイプで、お付き合いの当時、仕事でもプライベートでも支えてもらった記憶がありますね。
    (自分はそれに依存しすぎて相手を潰してしまったのですが)

     SMの価値観に長期間浸かることは、共依存以外にも『権威主義に染まりやすくなる』ってデメリットがあると思ってます。
     そういう意味でも、SMは過渡期と考え、いずれは卒業する。
    それが人間の幸せとして理想的なのかなあと思ったり。

    • ハルト より:

      MAYUさんまじめまして。
      SMに趣味でどっぷりつかりたい人もいれば、SMに何らかの救いを求めている人もいると思います。
      後者の場合は、より健康的に過ごすために、卒業目指すのはアリだと考えています。

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