D/s…SMと表裏一体の性癖
性癖を表す言葉は色々とありますが、SMの世界では大きく二つの言葉が使われます。
ひとつはよく聞く「SとM」です。
これはサディストとマゾヒストの頭文字を取ったものです。
前者は加虐を好む人、後者は被虐を好む人を表しています。
もう一つは「D/s」という言葉です。
こちらは耳慣れない響きですが、SMの世界を覗いてみると、時々使われてるのを目にします。
それぞれドミナントとサブミッシブの頭文字を取った言葉です。
この記事では、SMとD/sという言葉について紐解きます。
(そもそも、SMってどういう範囲の事を言っているの?という方は、下記の参考記事もご覧ください!)
SMって何?
SMとは、SadistとMasohistの略です。漢字ではそれぞれ嗜虐趣味、被虐趣味と言います。
要は痛みを与える事が好きな人と、痛みを与えられる人が好きな人の事です。
また、痛みにしても肉体的な痛みの授受に限定し、心の痛みを与える事は含みません。
狭義のSとMの間にあるのは、ただそれだけです。
よく誤解されますが、実は両者の間には上下関係はありません。
ご飯を食べさせるのが好きな人と、ご飯を食べるのが好きな人の間に、上下関係はありませんよね?
でも、この二人はきっとお休みの日に美味しいご飯を作って、二人で食べるでしょう。
お互い好きなことが一致しているからです。
これと同じことで、本当にフラットなSとMの関係は
M「ちょっと叩いてくれない?」
S「いいよー」
と言った感じになるはずです。
あくまでお互い対等なんです。
SはMに命令口調で言わなくてもいいし、MはSの言う事に従わなくてもいい。だって、痛いのが好きな人と、痛めつけるのが好きな人ってだけですから。
上下関係を表すには?
さて、先の段落で紹介したような狭義のSとMの関係は、現実的にはあまり見られません。
SMと聞いて想像するのは
M「お許しを、ご主人様ぁ…」
S「許さんっ!」(ビシッバシッ)
のように、かなり一方的な上下関係です。
ただ、この関係をよくよく考えると、二通りの意味が混ざっていることに気づきます。
一つは、肉体的な痛みの授受。
もう一つは、まるで力の強いいじめっ子が、弱々しいいじめられっ子を支配するかの如き関係性です。
この関係性を表せる言葉はないのでしょうか?
意味が別々なら、言葉としても二つあったほうが便利です。
D/sって何?
ここで登場するのがD/sという言葉です。
これはDominant/submissiveの頭文字をとったものです。支配/従属という関係性を好む性癖を指します。
カタカナではそれぞれドミナ、サブで、SMのようにセットで語るときはドミサブなどと呼びます。
D/sの概念は難解なうえ、ググってもニンテ〇ドーDSの話しか見つからないという問題があります(笑)
情報があんまり出てこないんですね。
時折、個人ブログでD/sに関する記述があったりしますが、中身を見ると「精神的SM」のような文脈で語られ、恋愛との境目が曖昧であることが多いです。
私もSMブログなんてものを書いておきながら、D/sの話はしばらく理解できていませんでした。
前置きが長くなってしまいましたが、その定義を噛み砕いてみましょう。
一言で言うと、D/sというのは「指示する人と、指示に従って動く人」の関係性を示しています。
んーそう言われても…先輩と後輩とか、上司と部下みたいな関係?なんて考えてしまいますね。
ニュアンスとしては近いですが、もうちょっと従う側が「物扱い」されるのが特徴です。
先輩後輩上司部下の話だと、上の側は指示を出すとは言え、一定のルールや常識に従っていますし、下の側の適性、意志もある程度汲んでいます(例外もあるかもですが…)
対してD/sでは、動かされる側がどう思うかは関係ありません。
例えるなら、リモコンを持って操作する人と、リモコンで動かされる物の関係です。
サブの側が無感情でなくてはいけない、という意味ではありません。
ドミからの指示は、サブにとってきつかったり、恥ずかしかったりで普通なら実行しにくいようなものも含まれます。
ですが、そういう感情的な葛藤まで含めて、最終的に従う、従わないを求めるのがD/sという関係性です。
こう考えると、D/sは意思疎通の一方通行性の強さ…という見方もできます。
先の「ご主人様ぁ…」の二人の、一つの側面を表しています。
Mは肉体に引っぱたかれるという、通常なら許容しがたいことを受け入れています。
本人はイヤで、許して下さいと請うても、ドミナは取り合いません。
それが支配という関係性なのですから…
SMは性癖、D/sは関係性まで含む言葉
図のように、SとM、DとSは個人の性癖のうち、視点を変えて整理したものです。
D/sの概念をSMとミックスすると、世間一般でイメージされている「SM」に近くなります。痛いのなんて本当は嫌で、もうやめてくださいと懇願しても、聞き入れられずにひたすら鞭打たれる…そのまんまですよね。
ですが、本来、両者は分離して考える事ができます。 極端な形のD/sが、SM世界で被虐にまみれるマゾとオーバーラップして見えるだけです。
SMなんかしないノーマルなカップルでも、彼氏の言うままに動く女性もいます。このような女性は周りに「Mだね」と評されるでしょうが、正確にはサブ気質の強い女性という事になります。
痛いことをしないけれど、言われるままになっている…という、SM要素を含まないD/sは、実は世の中にありふれていることが分かります。
こんな風に考えると、実はそんなに難しい言葉じゃないんです。
まとめると
・「肉体的な痛みを許容する度合い」が強ければマゾヒスト
・「一方通行の命令を許容する度合い」が強ければサブミッシブ
であると言えます。
SMとD/sのイメージが掴めたでしょうか?
映画にも登場
また、ドミナントをテーマにして大ヒットした映画「フィフティシェイズオブグレイ」についての記事もあります。
こちらの映画は性癖としてのドミ、サブとはちょっとズレますが、面白い描かれ方をしているので、一見の価値はあるかもしれません。
実際は両方持つ人が多い
現実的には、マゾでサブという人が多いです。
たまにマゾだけ、サブだけという人もいます。
それぞれの要素がいろんな割合でミックスされて、その人の性癖を形作っているんですね。
SM やD/sと言った分け方のほかに、好みのプレイや性格で考える場合もあります。
もっと深くタイプを考えたいという方は、下記のタイプ診断の記事をご覧ください。
・自分はハード寄りなのか?ソフト寄りなのか?
・SMを通して何を得たいタイプなのか?
と言った疑問にお答えする記事になっています。
さらにもう一つ、SMやD/sに惹きつけられる人がもつ気質について分析した真面目な記事もあります。自分の事に悩むMさんにとって、何かのきっかけになればいいなと思います。
(おまけ)主従って何?
主従という言葉に明確な定義はありませんが、界隈ではよく使われています。
SM,D/s的な関係に加え、恋愛感情も取り込んだ文脈のものが多いです。
SM, D/sという言葉は先に述べた通りの意味合いしかなく、お互いの恋愛感情はカバーしていません。ですが、そこで実際には向き合っているのは裸の男女です。
性癖でだけ区切るのは味気ない(あるいは、意図的にぼかす)と感じるのも分からなくはありません。だから、この辺を緩く飲み込む言葉として「主従」とか「精神的SM」という言葉が生まれたのではないかと推測します。
( 素直に好きだと言えばいいのに、と管理人は思います笑 )
興味深い傾向として、SM風俗でS女王様を見つけるM男性からは、主従や精神的SMという単語をあまり聞きません。
彼らは女王様の事をドミナ、自身の事をマゾと表現する場合が多いです。
SとM、ドミナとサブ…のように対にもなっていないんですね。
彼らは女王様との時間が限定的で、永続的なものではないことを理解しています。
恋愛的な返報性は期待できないから、主従も精神的SMも求めません。
痛みという物理的なものを貰いに来るマゾ、マゾの心、体、そして金銭と時間までも支配してしまう女王様はドミナ。
二人の関係をきれいに表しているように思います。
性癖診断
あれ?おかしいな…SMにもD/sにも当てはまらないかもしれないぞ…?
と思った方。
実は白いゾーンはそんな方のためのサイトでもあります。
自分だ…!とピンときた方、ぜひ管理人ハルトと一緒に居場所を作っていきましょう!
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