キュートアグレッションとは
キュートアグレッションは可愛いものを見た時に生じる攻撃衝動のことです。
攻撃衝動の度合いは個人差があり、全く起きない人もいれば、衝動を超えて行動に移してしまう人もいます。
ここでいう攻撃衝動と言うのは、加虐行為そのものを指すのではなく「ああもう!どうしたらいいの!!」「可愛すぎて食べちゃいたい!」となってしまうあれのこと。
手放しで可愛がるのではなく、この気持ちをどうしてくれるんだ?という責めの感情を指しています。
赤ん坊にうりうりしたくなったり、好きな相手に一方的にぎゅっと抱き着くのもキュートアグレッションの一部なのだそうです。
キュートアグレッションは、可愛すぎて身動きが取れなくなることを防いでいるのではないか、と言われています。
可愛いというポジティブな感情に、攻撃と言うネガティブな感情をぶつけて、振り切れることを防ぐわけです。
無防備になれるほど可愛いものに接することは嬉しい体験なのだけど、相手が例えば猫だったら、スタスタ歩いて去っていっちゃうかもしれないし、あるいはフギャーと飛びかかってくるかもしれない。人間、嬉しいことがあったとしても無防備になることは好ましくないわけです。
キュートアグレッションの研究は人間や動物に対して行われたものですが、語感の良さもあってか、色んな場所で引き合いに出されています。
最近では「ちいかわ」など、たまにサディスティックな展開を見せるキャラものにもキュートアグレッションが現れているのではないか、などという人も居るようです。
キュートアグレッションとSM
「今日も可愛いよ」なんてラブラブしてるSMカップルも、ひとたび密室に入れば加虐、被虐行為にふけります。
可愛がっているパートナーをなぜサディストは攻撃してしまうのか?
長らく謎だったけど、キュートアグレッションにその理由を見ることができそうですね。
何せ、可愛すぎて攻撃したくなる衝動なのですから、恋愛的SMそのものではないかと感じます。
SMの世界では耽美的な価値観も根付いています。
美しいものが壊れることこそ美しく、美しくないものは壊すに値しない。というのは時々聞かれる話です。
これについては、僕はルッキズム的な美醜の価値判断に基づくものと考えていたけど、実は違って、キュートアグレッションに根ざしたものかもしれない、と思い直しました。美しくあればあるほど壊したい衝動に駆られるのは、古今東西一緒のようです。
キュートアグレッションとサディスト
先に説明した通り、キュートアグレッションは実際に相手を傷つけてしまう行動ではなく、あくまで衝動の話です。
けど、じゃあその衝動が行動になることはないのか?
答えとしては「ある」と思うけど、実際に加虐行動に移ってしまうのは、一般的とは言えないでしょう。
暴力はダメだと散々教えられたのに、それを破ってまで手を出してしまうのは、やはり病的なコト。
キュートアグレッションにより引き起こされる攻撃衝動の度合いは人によって異なります。
サディストの中には、可愛いものを見た時に極端に攻撃衝動が高まる人が含まれていて、それがSと名付けられているのかもしれません。
もちろん、可愛さとは関係なく加虐したいと思うサイコパス的なサディストもいるでしょう。
でも、可愛いものに限って攻撃したくなるのなら、キュートアグレッション(の暴走したもの)と見てもおかしくはないですね。
僕のキュートアグレッション的経験
僕も一応Sさんの側に立っており、この衝動についてはよく理解できます。
可愛すぎて加虐したい!と思うことは結構な確率で感じている気がするからです。
もちろん、SM以外の場ではおくびにも出しませんが…。
いざSMプレイ、となったときも、僕はMさんが出来る限りのメイクをして、可愛く着飾ってきたときのほうが加虐衝動を強く感じます。
これはもう、体感的にわかる。美しいものほど壊したい、というやつ。
ここには間違いなくキュートアグレッション的な文脈が含まれていそうですね。
でも、責め立てられてボロボロに崩れた後も、それはそれで可愛いなぁとしみじみ思ったりもするわけで。
この「事後」を慈しむ気持ちにも何か名前を付けてくれたらいいのに…。
実は知ってますよ、なんて人が居たら、その仕組みをぜひ教えてください!
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