自傷癖とSMの関係性

自傷癖とSMの関係性 自傷、自罰

己の肉体や精神を傷つけることは、自傷行為と呼ばれています。
己の肉体や精神を傷つけてもらうことは、SMと呼ばれています。

書き並べてみると一目瞭然で、両者は類似しています。

しかしながら、世の中には自傷行為とSMの関連性について書かれたテキストは殆どありません。エロの世界に面倒な「病気」を持ち込んでくれるな、と言わんばかりに。

はたして、性癖は個人に根差した精神とは無関係なのでしょうか?

本カテゴリは、自傷行為を行う人=メンヘラと、SMを行う人=マゾヒストの間を結ぼうという新しい試みです。
つまり、精神的な病としてのマゾヒストを論じています。
(メンヘラという呼称に特定の意図はなく、そのまま上記の等式を示します)

自傷行為とは何か

読んで字のごとく、自分で自分に傷をつける行為を言います。
特に有名なのはリストカットと呼ばれる、手首を刃物で傷つける行為です。

また、近年ではその定義も拡張しており、むやみな性行為も「自分自身を傷つける行為」として自傷行為に含まれる場合があります。

なぜ自傷行為をするのか?

結論から言うと、分かっていません。
当人らも分かっていないのですから。

一応、感情的に納得しやすい言説として

「辛い気持ちを言葉にできないから、体を傷つけて助けを訴えているのだ」

というものがあります。
大切な体から血を流している悲壮感も相まって、心情的には納得しやすい理由です。
部分的な事実かもしれません。

が、冷静になって読むと変ですよね。
辛いなら、なぜ痛みという辛さをさらにプラスしているのでしょう?
ふつう、辛いことがあったらそれを回避する手立てを取ります。

精神医学的には、自傷行為をすることで特別に脳内ホルモンが分泌し、精神の均衡を失いつつある自分を自己治療しているのだ、という説があります。


ある研究は,自傷を繰り返す者の場合,自傷直後には血液中の脳内麻薬様物質(エンケファリンやβ-エンドルフィン)の濃度が上昇していることを明らかにしている.

(参考: 教育講演:自傷行為の理解と援助


webをさらうと当事者による手記も見つかり、上記研究の正しさを裏付けています。


自傷自体が良いことだとは思っていません。思ってはいませんが、頭ごなしに「やめろ」と言われても、自分にとっては単なるストレス解消法であって、やめなきゃいけない理由がわからない

ストレス解消のための自傷って、だめ? 引用元

実際のところ、精神疾患と自傷行為を併発している人の治療をすると、基礎症状の軽減に伴って自傷行為も治まることが分かっています。
症状が軽減するというのはつまり、精神の均衡がとれつつある状態です。

この現象は自傷行為が症状の一つであるということを示唆しており

自らの肉体や精神を傷つけるのは自分自身に不利益であり、通常はしない行動である

という事実が導き出されます。

正常な人は本能的に不健康、不健全なものを忌避します。
体の傷も、心の傷も、少なければ少ないほどいいのです。
これは生存戦略で優位に立とうという生き物の本能でもあります。

SMとの共通性

当サイトでは「SMしたいならすればいい。異常か正常かなんて、気にすることないさ」というスタンスで書かれています。
これは個人に性的自由があるという視点に基づいてます。

なぜSMがノーマルと異なる特殊な性癖であるかとみなされると、自分自身を何らかの形で傷つける、という行為を含んでいるからです。
冒頭にもありますが、自傷行為とはすごく原理的に似ています。

何でもかんでもSMになってしまう割に、この辺の話は誰も語りません。
メンヘラにとって性はタブーであり
性にとってメンヘラはタブーなのかもしれません。

一例だけですが、明確に両者の関係を語っている当事者もいます。

元々マゾヒストの気があったのもあり、そういった痛みの類が大好きだったのです。私が辛い時にいつも隣にあった痛みに依存もしていました。世間にしがみ付く為に、痛みで理性を保っていました。そういうことまで詳しく恋人が知っているのかどうかは解りませんけれど、恋人は「私が喜んで気持ち良さそうにするから」と痛みを与えてくれます。私はそれでようやく、自分の中の辛さや苦しさを認識して、発散することが出来るのです。恋人の名誉の為に加えておきますが、彼はサディストではありません。

引用元 : 自傷行為の代わりにSMに手を出したことで、少し生きやすくなったメンヘラの話


個人的には、やっぱそうだよなぁ…と思います。
旧「白いゾーン」でも繰り返し語られてきたテーマを、改めて紐解いていきたいと思います。

つまり

自傷行為=他傷行為=SM
であり
「健康な」マゾヒストは、実は表出しない程度の精神疾患を脇に抱えているのではないだろうか?
というのがこのカテゴリの考え方の出発点です。





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