父性が求められるシーン
父性を求めるMさんが一定数います。
自ら口にする場合もあれば、特に言わないけど、掘り下げてみるとそうだったということもあります。
白いゾーンは内面的な葛藤をテーマにしているせいか、父性に関連する相談や体験は全体の1~2割程度はある印象です。
彼女らは同年代の男性が苦手である場合が多いです。
でも、相手が年上の場合はさして感じないようです。
この男性恐怖症的な意識は、過去の恋愛遍歴と言うよりは家庭環境に起因しているような気がします。
この記事では父性について語ります。
当然、家庭環境と言うのは人それぞれで、一概にこうだからこう、と言うのは全く正しくないことです。
という前提を置くとテーマを弱めそうなんだけど、どうか理性的に読んでほしいと願ってます。
フロイト的な深層心理からの解釈も当てはめません。
繋げたら納得感が出やすいのはわかるけど、そういうこともなるべくしないでフラットに書きたいわけです。
父との問題をどこから読み取るか
体験を通して、僕は体験者さんの話を色々と聞くことになります。
僕から根掘り葉掘り聞くことはありません。会話のリードを取ることはありますが、あとは語るに任せます。
その中で時々「問題のある家庭で育って、それが性癖にも影響していると思ってる」というエピソードを聞くことがあります。
問題のある家庭とは、母子家庭であったり、あるいは父親が家庭で果たす役割があまりまともじゃなかったとか、そういう話。
父のこういうトコがすごくキライで…とディテールを持って語られるわけじゃあないのですが、会話の中で瞬間的に家庭に関する話題が出て、その短さの中に、標準的なところからかけ離れた父親評がおりまぜられたりしていて、異常さがより際立つわけです。
父の存在は、大人の男について学ぶ機会である
親不在の家庭について、一般的に言われること
父親が居ない、またはいまいち機能していない場合、男の子であれば男らしさを学ぶ機会がなくなります。
女の子であれば「大人の男は何をしているのか」について学ぶ機会が失われます。
恋愛的な価値観にも影響は大きく、付き合う相手が家庭の男にふさわしいか判断しにくくなります。
そもそも「大人の男」に関する軸が無いので、異性に対する目が妙に厳しくなったり、あるいは過剰に受け入れてしまったりということがあったり、あるいは父親という存在に憧れがある場合は、パートナーの選択基準が「父親のような存在」や「安心感」になる傾向もあります。
父親不在の家庭について、一般的に言われること
父が暴君として家庭内に君臨する場合、嫌だと思いつつも従わざるを得ないという二面性に耐えながらの生活になります。
また、父が機能していないということは母の負担が多いということであり、ストレスによって子供との関係も悪くなりがち、というのは一般的にあるそうです。
ストレスを越えてネグレクトに至ると、娘が自らの面倒を見たり、兄弟の面倒を見たりといった具合に、家庭内での「子供」の立ち位置が壊れ、
親の役割を代行するようになり、やるべきことに翻弄されて、年相応の経験をする余裕がありません。
そこまでいかなくても、娘は母親のストレスや疲れを察知し、自らも心配したり、気を遣ったりするようになります。
気を抜く瞬間が訪れるとしたら独り暮らしを始めたときで、家庭というストレスから解放されて、体験相談もそんなタイミングになることが多いようです。
*注:あくまで問題がある場合の話であって、母一人でもよい家庭を築く人は当然います。
父性や父の存在はなぜ大事か?
というわけで、女性にとって、生まれて初めて接して、ずっと身近で見つづける異性というのは父親になります。
男というのはこういうもんなんだな~というのを父親から学び、感じ取るわけです。
バランスの取れた家庭であれば、父親はやるときはしっかりやる大人の男であり、でもダメな時もあって、だから母親と助け合って過ごすんだな…とか、そういうことを自然と学べます。
問題のある家庭(父親との関係が良くない)で生活することは、常にストレスを感じながら過ごすということです。
逃げ場はありませんから、好きじゃないけど受け入れる、という矛盾した過ごし方が日常なのです。
暴君の父と暮らしたなら「男性は怖いもの」という感覚も当然持ちます。これは男性恐怖症気味なところに繋がります。
(「怖いけどだらしないところもある」という面も暮らしていれば当然見えるはずで、その点では軽蔑するという、2面的な認識になる)
SM, D/sは微妙に父性を内包している
父が備えるべき「父性」は、なかなかに大事なものです。
力強い存在に認められる体験、受け入れれれる体験がそこにあるからです。
男性の包容力です。
他にも、叱られる、許される、甘やかされる、導かれる、など、様々なシーンがあります。
うまくいってるときにはリラックスできて、ダメなときはピシッと躾けられ、そして一度や二度失敗したとしても、それで関係が破綻することなく近くにいてくれる、という根本的な信頼感を学習します。
D/s的な要素と父性はやや近い場所にあります。
実際、この世界には歳の差カップルも多いでしょう。
片方が絶対的に上になっているし、好き嫌いだけで物事に接するわけではないからです。
下位の存在は、子供の立ち位置とも重なります。
明確に分かれた立場は、役割分担にもなって安心材料となります。
確たる自信はなくても、なんとなくそこに父性の匂いをかぎ取って、SMに流れてくる人もいるはずなのです。
(うまく噛みあう人を見つけるのはとても難しいけど!)
親との不仲を語りつつも憧れる心理
不思議なのは、父親とあまり関係が良くなかったというエピソードを持ちながらも、SMなどの関係性を通して、父のように厳しく、優しく、甘えられる人を求めるという点です。
ついでに言うと、母についてもよく思ってない場合が多く、父親のような男に付き従う母親についても、また軽蔑しているわけです。
それなのに、SMプレイをするんです。
男に手荒に扱われて、それで救われたような感じになる。
乱暴な父のような男性を求め、母親の気持ちを疑似体験する。
父(や母)をすごくキライといいつつ、似たような対象を求める心理というのは分かるような気もするし、分からないような気もします。
僕なら、本当に嫌いなものに寄り付こうとはしないからです。
でも求めてしまうということは、本当に嫌いということじゃなくて「本当は欲しかったもの」に父がカテゴライズされているのかもね。
本当は父親から受け取るはずだったものを取り返したいし、できるならそれを持った人と付き合いたいと考えることは、理解できます。
小さいころ手に入らなくて、えらく遠回りして、得るはずだったものをSMみたいな手段まで使って何とかして得る。
それで気持ちが落ち着くんなら、するべきだと思う。そこに必要なものが埋まっているわけですから。
長所について書いていなかったけれど、父母がうまく機能してない家庭に育った娘さんは、気づかいと言う点ではものすごくハイスキルに育っていて、周囲にいる人は心地よく過ごせることが多いです。
モラル的にも割とまとも。
恋愛なんてよくわからない、とは言うものの、出会うべき人に出会い、時間をかけて信頼感を養えば、まっとうに恋する乙女にちゃんとなれる。今うまくできないからって、心配する必要はありません。
他、この属性の方がうまくできないことの一つに「甘える」があって、それもについてもちゃんと書きたいなと思ってます。
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