痛めつけられたい、貶されたい…自己評価の低いM女さんの話

自傷、自罰

痛めつけられたいM女

下記の記事では、一部のMさんにみられる自罰的傾向について切り込んでいます。

このタイプのMさんは、内側に自責感や罪悪感が眠っていることが多いです。そして、どこかに「自分は傷つけられなくてはならない」という考えが入り混じっています。
この傾向は、下記記事で抽出された「鬱っぽさ」に紐づくものです。

言葉にしにくい感情なのですが、外から見ると「痛めつけられたい」願望として認識されます。それが肉体的であるか、精神的であるかは人それぞれです。

自己否定感の背景は様々です。
具体的に何らかのトラウマ(強烈な性体験など)または、ただぼんやりと、自分の弱さが苦しい…といった状態にあることもあります。

いずれにしても、頭の片隅で何となく「自分は失敗している」と思っている場合が多いです。

これは、出会いの場ではマイナスに働きます。
特に女性の場合は、基本的に(男性側の下心もあって)いい人だね、かわいいね、素敵だね。などの誉め言葉に発展することがあり、居心地が悪くなります。自分自身の評価とのギャップに苦しむわけです。

痛めつけられたいMさんが求めているのは、本来の評価…ダメな自分をダメだと言ってくれる人、です。そして「失敗」をした自分を罰し、許してくれる人です。

このあたり、SMはちょうどいい手段になっています。
肉体的な痛みがあり、貶されることも、辱められることもできます。
プラスの面じゃなくて、全部差っ引いた等身大があらわにされます。

痛めつけられたいM女さんが無理にほめられると…

自信がない時、それを人に言うのは難しいし、仮に言えたとしても
「大丈夫だよ、〇〇ちゃんならやれるって」
などと根拠のない励ましを受けて終わることが殆どです。
前を向けるような状態じゃないのに、むりやり前を向かされるわけです。

自分に自信がないMさんにとってこの状況は思いのほか辛く、どこからともなく「ポジティブに生きろ」という、プレッシャーにさらされているように感じます。

周囲の人はなぜか、人生は明るく前向きで、楽しいもの。多少の困難はあっても、それでも小さな幸せを積み重ねていくもの…そんな風に、信じ切っているようです。

私だけが、違う?
誰も、「劣った私」に向き合ってくれない…

そんな孤独感が、Mさんを襲います。
うまく生きていくことへの見当もついていない自分自身に失望すらするでしょう。まずいのは、生まれながらにこのような気質な場合、一度も「幸せ」にピンときたことがないまま生きていたりすらします。

痛めつけられたいM女さんのための、引いてあげるSM

痛めつけられたいM女さんは、与えられるより奪われるほうがしっくりきます。
もともとプラス評価という不相応なものを持たされて、アワアワしてるのです。(下記の記事も参照)


なので、実は奪われた方が安定するわけです。
SがMから「奪う」ということを、引き算で表してみましょう。

1-1 = 0

最初の1は、Mが持っていた何か。
後ろの1は、Sが奪った何か、です。

ノーマルな性行為は、お互いに何かを足す作業です。
楽しく、愛しあって、お互いに幸せな、ポジティブな感情が生まれます。
ノーマルな女性は基本的にこうでしょう。
なので、この二人は

1+1=2

になります。

次に、ちょっとアブノーマルな女性の例を見てみよう。

「イってもイってもやめないで、私を壊してほしいです」

気持ちいのは好きだけど、気持ちいいけれど…一度イったら体の感覚はごく敏感になります。
息切れもしているし、少し間をおくのが普通です。
なのに、この女性は休みも入れずに責め続けられたいわけです。そんなことをしたら、頭が真っ白になって、どうにかなっちゃうかもしれません。

もしもコントロールが効かなくなって、淫らに狂ってしまったとしたら…
それは、普段澄まして着飾っている女性にとって屈辱的なものになるでしょう。

惨めによがり続ける女体となって、見られたくない自分の「女」を強制的に引きずり出されます。
他人の目を人一倍気にする女性にとっては、そんな姿を見られることはマイナスでしょう。

1-1= 0

で、マイナスされると何がいいかというと、その分「空き」ができることです。
ノーマルの女性は、+1だけ受け取ることができました。
でも、快楽責め願望の女性は、引き算された後なので、追加で+2受け取ることができます。

プラス評価が重荷になっているMさんは、+3とか+4を持っていて、それ以上何も与えることができない状態です。
そこに+1されても、溢れてしまうだけです。

-1だけじゃなく、-2も、-3も引かれて、やっと快楽を受け取る隙間がそこにできるのです。
だから、SMで酷い目にあうことが、まずは自分の気持ちをリラックスさせる手段にもなります。

痛めつけられたいM女さんの性癖はSMでもない?

痛めつけられたいMさんは、自覚的には「そんなにMでもない」場合が多いです。
ただ必要に迫られてやっているような感覚であり、実際そうなので本質的にMじゃないと言えるかもしれません。
(生きる力を目覚めさせるためにそうしているだけだったり)
とはいえ、分類先は「SMの人」になります。
他にいい場所がないのです。

SMの世界は「性」と「罰」を結び付けており、ネガティブM女の心を軽くする要素がいっぱいです。

とりわけ「異常」が許容される世界であることもプラスでしょう。
おかしいのかも、と思っていた自分の居場所が、意外なところに見つけられます。

他、プレイ中に追い込まれることもメリットの一つです。
極端に不利な状況に置かれることで「生きている感覚」を取り戻すことができます。

下記のタイプ診断で言うと、メンタルリセット型に当たります。


ぐるぐると頭の中でループする要らない思考を放り出すくらいに、痛む傷跡。あなたの内側に眠っていた熱さが体中を駆け巡り、女として、人として、自罰的M女は初めて生の実感を得ます。

痛めつけられたいM女さんと相性がいいタイプ、悪いタイプ

自己評価が低く、相手にも多くを求めないゆえに、意外とどんな人とも付き合えます。
自分から相手を好きになることはほとんどないか、異常に惚れっぽいかのどちらかです。

忙しくて時間の少ない男性は(不安感が募ることから)一見相性は良くありませんが、救いになるのはだいたいこういうタイプです。
相手にされない時間を我慢し、短い時間と言葉でずっくりと心の奥まで突き刺されることでプラマイゼロと考えられるかどうかが、最後に浮かべるかどうかの境目かもしれない。
賢いタイプや、芸術的才能があるなど、人生の目標に対して何らかの答えを持ってそうな人には執着しがちです。そこには道しるべが求められています。実際に前を向いて歩く気力があるかは別として、そこに希望が見えるだけで安心できます。

痛めつけられたいM女さんは、ノーマルなエッチもそれはそれで嫌いじゃない場合が多いです。ただし、基本的に自分と対話するためのセックスに過ぎないところがあり、どことなく冷めた感情を持ちがちです。
(最中はのめりこみますが)

また、メンヘラっぽいところもあり「一度消えてやり直したい」というような願望をたまに持ちます。SMはこの辺相性が良く、消えたいの疑似体験ができる場合があるのです。

うまく行けば、深くまで沈み切ったあとに、プカリと浮いてきます。
浮いた後は、そのままSMを卒業するパターンがあります。
性癖としては残るけれど、焦燥感みたいなものが消えて、そこそこ普通になるのです。

痛めつけられたいM女さんには、涙があったっていい

痛めつけられたい願望を持つM女さんは、白いゾーンで得意なタイプです。
なぜか?それは調教のメソッドが確立しているからです。

見極めは慎重さが必要ですが、時には涙するような追い込まれ方が求められます。

元はと言えば泣きたいときに泣けなかった…という過去もあると思われます。
それは泣くよりもひどいストレスです。

「私、ほんとはダメなんだ」

内心で思っていることと、外に対して発信する自分は違います。
この二つがちゃんと同じになるまで、SMプレイは続いていくでしょう。

涙は、彼女たちにとって悪いものではありません。
きっと、自分を解放するキッカケがそこにあるのですから。

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