細かい言葉遣いから相手の想いを見抜く話その2

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前回のコラムのつづき。

仮に、次のような一言が書かれたメッセージを受け取るとしよう。

「自分はマゾではないと考えていますが、どう思いますか?」

この人はマゾだろうか?マゾではないだろうか?

答えはイエスかもしれないし、ノーかもしれない。
より正確に答えるとすれば「回答不能」である。

そのような結論となる理由は、マゾという言葉の曖昧さに起因する。
「マゾ」に対する画一的な定義は存在しない。
画一的な定義が存在するとは例えば「赤色」などである。
赤色かそうでないかは客観的に確かめることができる。
しかし「マゾ」の場合は無理だ。

実際このような質問に答えようとするなら、質問者の考えるマゾの意味を聞き出すところから始めて、それに当てはまっているかどうか判定をすることになるだろう。
しかしながら、質問自体が「マゾではないと考えている」なので、詳細に聞けば聞くほどマゾではないように論理が展開していくのは明白だ。
もし「マゾである」という方に持って行きたければ、回答する側が新たな「マゾの定義」を提供するよりほかない。
ただし両者の意見を組み合わせて新たなマゾの定義を作り出し「そう言われると自分はマゾかもしれない」「そうは言っても自分の解釈ではマゾではない」などの結論が得られたとしても、論理的には意味がない。当事者がどう思うか?という最初の問いと変わっていない。

だが、このような議論をすることで(コミュニケーション)お互いの想いや考えを知ることができる。
答えそのものには大した意味がなく、その答えを導く過程には意味がある。

前置きが長くなったが、この質問者がマゾ(SM)に興味を持っているかは、最初の問いの時点でほぼ確定している。
マゾであろうとなかろうと、興味は持っている。
なぜなら、SMに興味を持たない人は「マゾであるか否か」なんて考えない。
日常生活を送る中で、そのような問いに触れることはない。

冒頭の一文のみでも、マゾか否かという話題を選んだ時点で大枠の興味や方向性は察することができる。
これは書かれていないことを読み取った例だ。
当たり前に聞こえるかもしれないが、上記のような分かりやすい短文でなかったとしても、テキストメッセージのそこかしこに似たような文脈を読み取ることができる。
書かれていないことまで。

まあ、もっとメタに「僕に相談している」時点でSMに興味を持っているという解釈もできるけど。

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