細かい言葉遣いから相手の想いを見抜く話

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性癖についていろいろな相談を受ける。
初めからあけすけにすべて語ってくれる人もいるが、そうでないことの方が多い。
中には見透かしてほしいという思いもあろうが、単純に話さなくていいと思っていたり、いくら何でも恥ずかしくて言えないこともあるだろう。
とはいえ、会話を続けていると僕は言ってないことまで当てるので「何で分かるんですか?」と驚かれることがある。
理由は簡単。ちゃんと見てたら分かるから。というだけのもの。

聞いてたら、ではなく、見てたら、と言ったのには理由がある。
心理学の有名な現象に、メラビアンの法則というものがある。

メラビアンの法則は下記のようなものである。

AとB、2人の候補が選挙に出た。
ラジオで聞いた人はAが勝ったと思い
テレビで見た人はBが勝ったと思った

この差異はどこから来たのか?
テレビで見た人は、言葉以外の、服装や表情、態度といった言語化できない情報をプラスして受け取っていたためにBが優位だと考えた。
言葉で伝えるものだけが全てではなかった。

極端な例だけど、Aが素っ裸だったら絶対に勝てない。
身なりもその人を構成する一部である。
つまるところ、この法則はあれこれ言葉で話すよりも、実際に見たり聞いたり、会ってみたほうがその人に関する情報が増えることを意味している。
ボディランゲージのように、視覚的情報が言葉の代わりになるのである。

冒頭の話に戻るが、会ったら「何で分かるんですか?」は増える。
でもSM的なテーマを共有した時点で、いきなり出会うことは難しい。
代わりにテキストメッセージであれこれコミュニケーションを試みる。
この時も「何で分かるんですか?」が出ることがある。
実はテキストメッセージから、テキストになっていないものを読み取ることもできる。
書いてみると変だけど、噛み砕いて話そう。


例えば、”シタイ”と”サレタイ”は結構違う
願望が実現したとき、起きる状況は結果的に同じになるけど、裏側に透けているものはずいぶん違う。
シタイ、というのは本人が能動的にそうしたいと考えているのに対して
サレタイ、というのは本人が受動的にそうなればいいと考えている。
何か外的な要因によって、自分自身が望んだ状況に勝手になってくれたらいいのに、と望んでいる。

SM的な話で具体化しよう。
”支配されたい”という願望を聞いたことはあるんじゃないだろうか。
よく考えると、日本語的にはちょっと変なことが分かる。
支配の反対は服従なので、本来ならその願望は”服従したい”になる。
支配したい人は”服従されたい”なんて言わないでしょう?

この文章は、なかなかに象徴的だと思う。
服従したいと積極的に願っているわけじゃない。
けど、もしそういう状況になったらいいな、という願望が”サレタイ”になっている。

以前書いた、依存傾向が高いだろうという考察もここに繋がる。
自分で決めてそうしたいんじゃなくで、誰かにそうしてもらいたいんだ、という性質を読み取ることができる。

多分だけど、この文章を読んだからって、心当たりがあるMさんがサレタイからシタイには変わらないだろう。
服従したい、になるとなんか違和感を感じると思う。
能動的じゃないからだ。

テキストメッセージからは、こういう細かい、文章の外側にある情報を読み取ることができる。
書かれているストーリーそのものとは別に、細かい単語の選び方や、表現のクセからも何かを察することはある。
つまるところ、テキストメッセージも「よく見る」ことで、書かれてないことまでわかる。

書いてないことまで当てられちゃうのは、そういう理由による。
ちなみに、全く情報がない場合は何も読み取れない。
僕は超能力者でもスパイでもないから。
一番難しいのは、直接会っていない状態で、テキストメッセージの口数も少ないこと。

書く側はとにかく、書けるだけ書いちゃえばいいと思う。
筋が通ってなくても、矛盾しててもいい。
読み取る側が、あなたにとって必要な包容力を持っていれば、あなたの書いた外側にあるものを補ってくれるはずだ。

逆に、変な読みを与えないように気を配る必要は無い。
そんなことをすると疲れちゃうから。
だから、ただただ素直に書けばいい。

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