ケンカするご主人様と奴隷
永遠の上下関係で結ばれたはずの「ご主人様と奴隷」。
そんな二人でも男女ですから、長く居るとケンカをします。
別れの匂いは、役割の別れたSとMではなく、対等にエゴを戦わせる男女になった頃に強くなります。
この段階になると、ノーマルなカップルよりも折り合いをつけることは難しくなります。
なぜなら意見がすれ違った時
「ご主人様なのだから」
「奴隷なのだから」
といった、有るのか無いのか分からない義務が言葉の端々に混ざってくるからです。
本記事では、ひとまず「主従関係」が終わるパターンと、終わりを回避するための方法について考えます。
まずは、ダメになりがちなパターンを3つほど見てみましょう。
その1☆ 好き好き大好き 崩壊パターン
飼い犬、飼い猫。
愛玩のために傍にいることを許されたMさん。
その嬉しさは膨大なエネルギーを生みだし、全てが飼い主を愛することに向けられます。
飼い主たるご主人様は最初はニコニコしているのですが、時々男ならではの「孤独になりたい欲求」が首をもたげてくることもあります。
少しプライベートの時間が欲しいな…と物思いにふけっても、振り向けばそこにラブが待っている。
傍から見れば仲睦まじいカップルでも、日常のほとんどを愛の返報に費やす生活に内心疲れてきてしまって…
人は休まず全力疾走することはできません。
その2☆ ご主人様最優先。でも最低限は… 耐えるMの爆発パターン
晴れてご主人様の奴隷となったMさん。
自分のことなんて、どうでもいい。ご主人様に負担なんてかけたくない。
「ご主人様のしたいこと、仰ってください。できることなら何でもします」
その言葉は本心から出たものです。ただし、すこーし省略されている言葉もありました。
(私の不満は、言わないようにします。でも、本当になんとかしてほしい寂しさだけは、ちゃんと何とかしてくださいね)
男は単純なので、その省略部分にはなかなか気付けません。
なるほどできた奴隷だ…とばかり、Mさんを好き扱います。
Mさんは言葉の通り身を捧げ、その生活に満足。でも、しばらく経つと主を満たすだけで、なんだか自分が満たされていないことに気づいてしまします。幸せなはずなのに湧いて出る寂しさ。
不安定な心情を見透かされ
「私が弱いのがいけないです、ごめんなさい」
それでも強がって言うのです。
謝られてはたと気が付くのはご主人様のほう。
支配していたつもりが、実は寂しさの亀裂を広げていただけだったことに気が付きます。
その3 ☆ あれ、なんか思っていたのと違う…幻滅パターン
憧れの主従関係。
Mさんとしては、上下関係を楽しみながらも、同時に恋人のように大事にしてくれるのが嬉しくてたまりません。
一緒に過ごす時間も次第に増えて嬉しい…んだけど…あれれ、なんだか主人様、普通なところも多いですね?そんなに私の言うこと聞いてくれなくてもいいんです。もっと絶対的な存在で居てほしいんですが…
これじゃ、普通の男と大して変わらなくないですか?
一度ご主人様の絶対性に疑問を持つと、あとはアラばかり目について、普通の恋人のごとくあっさりと終局を迎えます。
主従の危機、まずは話して
代表的な3パターンを紹介しましたが、これでも全然うまくいくカップルもいます。
大事なことは、ズレを感じたそのときにうまく解消できるかです。
恋愛ならお互いの関係は50/50で、気持ちをぶつけあうことで理解が進むのですが、いったん主従という枠に囚われると、言いたいことが言えずに崩壊する…というパターンの方が多いのです。
当サイトに寄せられるメッセージの中でも
「ご主人様とうまくいかず悩んでいます…」
という悩み事はなかなかの数に上ります。
普通じゃない関係なので、普通に相談できる相手がおらず、困ったあげく僕に相談しに来るわけです。とても真剣に話してくれるので、僕も真剣に聞きます。
そして
「話してくれたことを、同じように、ご主人様に伝えてみてください」
とアドバイスすると、うまくいく場合が殆どだったりします。
恋愛では普通にできることが、主従では何故かできなくなっていることが問題です。
関係は一つじゃない
男女がずっと居ると、どこかで恋愛ステージに到達します。
素直にそこに変化できれば良いのですが、主従から始まるとなかなか難しいです。
冒頭のケンカしているカップルも、そもそも話し合いたかったのはSMのことではないはず。
男として、女として、お互いをどう思うか…ですよね。
SMカップルの究極の形の一つにSM婚がありますが、そこまで行っても安定というわけではなく、後から主従関係を解消することすらあるようです。
様々な例を見ていくと「主従としては続けられないが、普通の恋人同士としてはアリ」に到達するパターンもちゃんとあるようです。二つの違いは、上下関係なのか、平等なのか、という点。
もしも二人がお互いを理解して、主従じゃなくてもうまくいきそうなら、恋人関係に置きなおすことも考えてみてはいかがでしょうか?
(下記の記事でも主従と恋愛について、詳しく解説しています)
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