SMサイト×BL?
唐突ですが、白いゾーンは、この度なんとBL漫画にチラっと載りました。
赤原ねぐ先生・瀬森菜々子先生の”簡易的パーバートロマンス”5巻です。
白いゾーンはBLのBの字もないサイトなので、まさかのタイアップ(?)です。
商業誌の片隅に名前が載るのは、管理人として何とも喜ばしい出来事でした。
もちろん、刊行された簡易的パーバートロマンス5巻も読みました。
この記事では、BL童貞である(だった)管理人ハルトが、本作品のSM的な解釈を試みます。
(*1~4巻は未読なので、読み違えや解釈の誤りもいくつかあるかもしれませんが、ご容赦ください)
簡易的パーバートロマンスはどんなお話?
簡易的パーバートロマンス5巻は、亮司と鹿嶋というキャラクターを中心に展開します。二人の恋愛の機微を描きつつ、濡れ場ではSMシーンが登場します。
さらにその裏にはD/s的な関係性もあったりして、SMサイトの管理人としては、かなり読み応えがありました。
なお、1~4巻までは恋愛やフェチズムを中心に、そして5巻からは特にSMとD/sの描写に力が入れられているそうです。
鹿嶋は特に中心的な役割を果たすキャラクターです。
美しく、臆せず、ぶっきらぼうな人当りでありながら、その無口さが逆に他人を惹き付けるなど、天性の魅力を備えています。
その魅力も手伝って、何にも染まらず生きていくことができます。
一方で、染めたいという欲望は作中で見え隠れします。
矛先は、パートナーである亮司です。
亮司はというと、そんな鹿嶋の美貌に惚れ込んでいて、好きすぎるがゆえにドギマギして、鹿嶋にリードを取られたりしています。(本人はリードする気はないのでしょうが…)
鹿嶋はマゾヒストであり、SMプレイに無関心な亮司をそれとなく焚きつけて、被虐欲を満たそうとします。
BL×D/s
SMプレイにおける二人の関係性はやや微妙です。
役割だけ見れば亮司がS、鹿嶋はMです。
ただし、亮司は根っからのSではありません。
ついでに言えば、D/sという視点では、鹿嶋はDomで、亮司がsubに見えます。
複雑になってきました…。
5巻に関して言えば、鹿嶋が亮司を誘導する描写がいくつかあります。
叩かせたり、噛ませたり、縛らせたりします。
亮司はというと、まともな(?)倫理観の持ち主で、そもそも人を傷つけることに抵抗があり、しかも対象が想い人とあっては全く乗り気ではありません。
それでも鹿嶋は誘い続けます。亮司が及び腰なことも、自分にほれ込んでいる弱みもひっくるめて、あれこれプレイをさせようとするのです。
亮司もあらかたその辺は読みつつ、なんとか期待に応えようと頑張ります。本当は綺麗な顔も体も傷つけたくないのに、結果的に鹿嶋のいうなりになる形です。
このあたりに、二人のD/s的な関係が見て取れます。
鹿嶋はドミナントのごとく、亮司を無意識にコントロールします。襲われるのではなく、襲わせているように見えます。
亮司は葛藤しながらも、それに乗ります。結果的には、鹿嶋の望む形にいつも落ち着きます。
一方で、SM的な視点でいえば、鹿嶋はマゾです。
肉体的な痛みを許容し、縛られて自由を明け渡すことだってOKです。
亮司を使って、それを実行します。亮司はサド趣味はありませんが、サド役を頑張ってはたします。
整理すると
鹿嶋はDomで、Mです。
亮司はsubで、Sです。
SMとD/sの違いが分かるでしょうか?
一般的には
Dom+S
sub+M
といった組み合わせが多いため、SとDomの違いは理解しにくいのですが、簡易的パーバートロマンス5巻では、珍しい組み合わせになっているため、それぞれの特性が引き立っています。
5巻では、とわざわざ付け加えた理由は、過去や未来において、組み合わせは刻々と変わっていくからです。
Sだった人がMになることもあれば、Dだった人がsになることもあります。もちろん、逆もあります。
お互いの理解が進んだり、何らかのきっかけでパワーバランスが崩れたりすると、性癖もまた形を変えていくのです。
これから二人は変化するのか?するとしたら、どんな形に落ち着いていくのか?
展開が楽しみですね。
攻め×受け=トップとボトム?
さて、ここまで読んだ腐女子…いえ、BL好きの方の中には、Dom+Mとか、sub+Sなんてややこしいことを言わなくても、簡単に伝えられる言葉があるでしょ!
と思うかもしれません。
そうです。
”攻め”と”受け”です。
ややこしい性癖だって「誘い受け」なんて単語で、あらかた伝わりますね。
攻めと受けに該当する言葉は、SMは”トップ”と”ボトム”があります。
トップ側が上位、ボトム側が下位です。
ボトム側が一方的にいいようにされるかというと、必ずしもそうではありません。ただ、納得いかないことがあったとしても、ボトムはトップを受け入れ、支援する立場になります。
こうしてみると、BLというジャンルは、その生い立ちからしてSMやD/sのフレームを組み込んでいたのかもしれません。
しかも、誰も気づかないうちに洗練され、進化しまくって今日に至っているのかも…。
BL、恐るべし笑
パーバート×ロマンスの意味は?
パーバート、というのは聞きなれない単語です。
調べてみると味わい深い英単語に行き当たります。
いやらしい目つきで見る、変態的行為をする、いやらしい[エッチな]行為にふける
https://eow.alc.co.jp/search?q=pervert
SMの話ばかりしてしまいましたが、作中ではしっかりとロマンスの側も描かれています。
鹿嶋は優れた魅力を備える一方で、無感情の絶対的なご主人様ではありません。
亮司のことで動揺もするし、焼きもちも焼きます。
持ち前のぶっきらぼうさでそれを悟られないように振舞うものの、亮司は亮司でそれを見抜くなど、徐々にお互いを理解していきます。
特に後半は亮司は自ら”Sの役割”をこなし始めます。
鹿嶋としてはもちろんこの変化は嬉しく、より親密さを増していきます。
僕が面白いな、と思ったポイントは、SMプレイがキャラクターの心理や、価値観の転換点として描かれているところです。ちゃんと必然性をもって、物語の中にSMプレイが織り込まれているんですね。巧みなプロットだなぁ、と思って読んでいました。
パーバートロマンス = エッチ × ロマンチック なのかもしれません。
そのどちらにも、SMやD/sがうまくつながっています。
BL好きな方におすすめの一冊
ツイッターでも呟いたところ、作者である赤原ねぐ先生からリツイートまでしていただき、僕のような零細アカウントからすればプチバズ感のある反響で、改めて作品の人気度をうかがい知ることができました。
BLお好きな方はぜひ、ご覧になってみてください。
コメント